生きるに意味などない139

日本人にとって、こころを語ることは自然を語ることである。花に託してとか、月にことよせてとかいうことさえ不適当である。花や月を詠むことによってしか、ほんとうに己のこころを語ることができないというところまで「心深く、姿よげに」思いをひそめ、ことばを浄化していかなければならないのであろう。


ここでもわれわれは、日本人が自然に生きているということを実感するのである。自然をうたうのではなくて、己をうたうことがそのまま自然をうたうことになるのである。

磯部


人間が、まともに人間の問いを問えば、狂気するよりほかにない。

裏返せば、狂気を避けて、生きるためには、その問いを言うことを止めて、他の問いに転嫁するか、慰め事で紛らわすか、あるいは、絶対者に身を任せるか、である。


つまり、生きる意味を問うことは、狂うことなのである。

それほど、恐ろしいことを、平然として、生きる意味は、云々とやる人たちがいる。


自殺防止か・・・

あるいは、年端のいかない子供たちに、いのちの大切さを教えるという、名目でか・・・


本当に、そういう教育をするならば、豚、牛、鶏を飼わせて、それをいずれ、食べる行為を、見せることである。


勿論、殺して、解体して、食卓に並ぶまでを、見せる教育である。

言葉での、単なる、慰みものの、意味付けは、罪である。


私は、東南アジアを回り、特に、孤児たちの施設で、生き物を育てて、それを食するという、行為を当たり前にしていることを、みて、得心した。

これこそ、いのちの教育、であると。


タイの田舎の、貧しい地域では、小学生が、昼に食べるコオロギを飼育していた。

いやいや、コオロギだけではない。

食べることが出来る、昆虫は、何でも、食べるのである。


さて、日本の大半の、愚かな教育者と言われる、アホどもに言う。


生きる意味の、本当の教育を述べて見よ・・・


こころ、の教育が、どんなものであるかなど、知らないのである。

私は知る者である。


ころろの教育とは、息遣いの教育である。

それは、手の所作になって、現れる。


武道、芸道、諸芸の道は、皆々、それを行う。

武道も、芸道も、諸芸も、そのことを習得するのではない。

こころ、というものを、習得するのである。


立ち居振る舞いにおける、息遣いと、手の所作である。


知らないもものは、無いものである。

だから、教員資格をも持っても、詮無いことなのである。


教師は、生業に堕落して、生活の糧を得るための、単なる、職業である。


暗記が得意な、賢い馬鹿が、大勢いても、詮無いことである。


ましてや、もののあはれ、など、伝えられる教師が、何処にいる。

それらを、否定して成り立った、教員組合というものがあるが・・・

人間失格である。


はっきり言うが、歌詠みが出来ない、つまり、それは、半人前の日本人なのである。

短歌を創れとは言わない。


短歌は、上手な歌詠みを飼育するのみ。

歌の良し悪しは、全く別の話である。


例えば、特攻隊員の、最後の歌詠みを読んでみよ。

良し悪しの問題ではないのである。


歌詠みの上手い人は、大勢いるだろう。

そして、何々賞とか、貰い・・・

呆れる。


エリッヒ・フロムが、人間のあらゆる情熱や努力は、人間存在に対する解答を見出そうとする試みであり、狂気を避けようとする試みである、と言った。

実に、まともな意見である。


人に対して、生きる意味を、説く人がいるらしいが・・・

終わっている。


その前に、自死して見せるとよい。

自害して果てるのである。

それを、見せて、生きる意味を問わせることだ。


しかし、その問わせた答えを聞くことが、出来ない。

死んだからだ。


問いを問うという行為は、実は、簡単なカラクリで、人は、確実に死ぬということだからだ。


死ぬ人間に、生きる意味など、あろうはずがない。

そのために、生きている。

死ぬために、生きている。


ただ、それだけのことだ。


別エッセイに、死ぬ義務、を書いている。

実に有意義な、エッセイである。

是非、参照して考えていただきたい。


もっと端的に言い直せば、大いなる狂気に身を任せながら、人間の問いを問い続けているということになる。それが、よかれあしかれ、われわれ日本人の生き方である。

磯部


つまり、唯一絶対の神を信じて、騙されている人種ではないのである。

日本人は、その狂気に耐え続けて、生き続けている、実に、まともな人種であるということだ。


ちなみに、とていも長いエッセイだが、神仏は妄想である、を参照ください。


人間の妄想を信じて、救いを求めることが、いかに愚かなことかが、解る。

更に、人間は、我に関しても、幻想、妄想を抱く存在であると、付け加えておく。