玉砕276

日本人も、中国人民の、多くが知らない、日本が、中国共産党に、出した金について、書く。


その前に、戦争賠償金について。

1951年、アメリカなど連合国は、サンフランシスコ講和条約第14条で、対日賠償責任を放棄している。


いかに、自分たちがやったことが、酷いことか、少しは解っていたのである。


放棄しなかった国は、フィリピン、ベトナム、当事国ではなかった、ビルマ、現在のミャンマー、そして、批准しなかった、インドネシアについては、個別に賠償金が支払われた。


中国は、52年、当事国だった、中華民国と日本政府との間で、「日華平和条約」が締結され、条約議定書に、中華民国は、日本国民に対する寛厚と善意の表徴として、サンフランシスコ条約第14条に基づき日本国が提供すべき役務の利益を自発的に放棄する、として、賠償放棄をしている。


その時の、蒋介石の言葉は、有名である。

怨みに報いるに、徳を持ってす・・・

実に、ずる賢いのである。


だが、71年、国連で中華民国に代わって、中華人民共和国が中国代表権を得ると、翌年の二月に、長く対決して来た、アメリカのニクソン大統領が中国を訪問し、日本でも、日中国交正常化の動きが始まる。


時の首相、田中角栄の中国訪問で、賠償問題が交渉テーマに浮上したが、最終的に、賠償を放棄した。


日中共同声明には、

中華人民共和国政府は、日中両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。

と、書いたのである。


署名は、周恩来である。

ここに、彼らの手がある。

何故、放棄したのか・・・


まず、日中戦争の当事者は、あくまでも中華民国である。その蒋介石が放棄したこと。

正常化交渉の際も、日本の外務省は、この事実を強く主張した。


だが、それ以上に、当時の中国が直面していた、周辺国の環境がある。

問題は、ソ連である。

当時の、ソ連は、中国の敵である。

同じ、共産主義であるが、ソ連が、脅威だった。


ここで、日本人の性善説を言う。

お人よしなのである。


日本人は、中国との正常化を、単純に日本と中国の関係であると、認識している。

それは、今も、当時も変わらない。


その結果、中国への過剰な贖罪意識から、日中友好のために、賠償金を受け取らないと、勝手に思い込んだ。

そして、感謝感激である。


識者は言う。

あのリアリストの周恩来が、何の政治的思惑もなく、賠償を放棄するはずがない、と。


彼は、正常化直前、内部会議で、対日賠償を放棄して、日本人を感激させる、と言った。

目的は、日本と台湾の関係を切るためである。


その狙いは、共同声明の、第二条、

日本国政府は、。中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。

そして、第三条の、

中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府はこの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

との条文に正確に反映された。


日本人は、今も、日中国交正常化が、中国にとって、国際戦略の大転換の一つであったことを、知らないのである。


田中訪中団と中国側との交渉が、謝罪問題で戸惑ったままの、協議三日目の夜、毛沢東が、田中首相と大平外相らと会見した。


毛沢東は、会談の中で、東条英機、ヒトラーの名を上げて、戦前日本が、欧米、ソ連、そして中国など、世界から孤立し、自滅したと指摘したうえで、日本には現在四つの敵があると、ソ連、米国、欧州、そして、最後に中国の名を上げた。


最後に、田中先生、組むなら、徹底的に組みましょう、と提案したのである。


当時、中国の最大の安全保障上の脅威は、ソ連だった。

その、ソ連に対する国際統一戦線こそ、毛沢東の田中招聘の第一だった。


この、毛沢東の戦略的英断と、国際戦略の転換こそが、賠償放棄の最大の理由だった。


台湾問題も、その文脈にあった。

そして、ソ連との戦争の暗示である。


ところが、中国は今、反日勢力を作るために、アメリカ、ロシア、韓国などを巻き込んで、組もうとしているのである。

勿論、そうは問屋が卸さない。


会見は、ベトナムの泥沼からの名誉ある撤退を準備していたアメリカにとっても、ソ連、社会主義からの軍事攻撃を警戒していた中国にとっても、必要不可欠なものだった。


ソ連に対抗した、米中連合は、ソ連を崩壊させ、台湾の独立を封じ込め、北朝鮮の核を共同管理しようとしている。


そして、その後の経過は、見ての通り。

ソ連は、崩壊した。


更に、中国では、90年代に入り、求心力を失った、マルクス主義、毛沢東思想に変わり、江沢民国家主席の下で、反日外交と反日教育が本格化した。


放棄した対日賠償も、92年3月には、民間損害賠償として、1,800億ドルを要求する法案が、全人代に提出され、放棄したのは、国家賠償だけで、民間の賠償は、放棄していないと、江沢民が言い始めたのである。


それから、日本は、膨大な金を中国に、渡すことになる。

次回に続く。