性について312

さて、次は、ソシエテ諸島の、タヒチ、古代ハワイを含め、ポリネシア地域に、同性間の親密な友情が存在するという話は、18世紀後半には、西欧に伝わっていたという。


この友情は、厳密に序列化された、ポリネシア社会の各地域で、同性間の性的関係を育む要因となった。


第三のジェンダーが、ポリネシア社会の諸相の一部となったのは、女性の地位が高かったことと、親族集団ごとに、独自性があったこと、更に、王や酋長による統治が行われていたことなど、様々な社会的特徴のためである。


反面、ニューギニア、アフリカには存在しない、年齢構造化された、ホモエロテック役割、その種の関係は、稀であり、報告例がない地域もある。


ポリネシア社会の、ヒエラルキーシステムは、社会的地位、権力を年齢ではなく、結婚やセクシャリティに関連付けている。


植民地化以前の、多数のポリネシア社会には、女性の仕事、役割、セクシャリティを担った、男が存在していた。


それは、女性の地位が高く、その社会の一般的なセクシャリティや、幼児期の性的試行に対する容認という条件とあいまって、ポリネシア地域における、ジェンダー転換的役割の成立を促したといえる。


中でも、多いのが、男から第三のジェンダーへの転換だった。


その記録は、キャプテン・クックが、ハワイを訪れた当時に、早くも、登場している。


ハワイで、アイカーネと呼ばれていた、文化的役割を一般の人々も、国王も尊重していたという。


アイカーネは、強い絆で、密接に結びついた同性間の友情を指し、その関係には、性的関係も含まれていた。


ハワイで生まれた伝統は、彼らの神話、歴史から知ることが出来る。


1778年、キャプテン・クックがハワイに上陸した頃には、この特別な同性間の社会的価値は、勿論、、アイカーネの社会的役割、性的関係も認められていたという。


アイカーネは、仲間と共に、共同生活を送ることも出来た。


この関係に従事した者は、霊的な力、「マナ」や、高い社会的地位を獲得し、神聖な儀式に加わったという。


当時、社会で価値あるものとみなされた栄誉を、残らず手に入れることが出来た。


古代ハワイでは、それを、アイカーネには芳ばしさが宿る、という詩的な言葉で、表現された。

だが、そのアイカーネも、西欧人からは、ソドミーを実践する者として、蔑視され、宣教師からは、邪悪な罪深い存在と見なされた。


数世紀前から知られる、タヒチの事例がある。

最も有名なものとして、マーフーと呼ばれる、第三ジェンダーの一種であり、服装、行動の異性化に関しては、少なくとも、彼らが首都パペーテのナイトクラブに出演する、現代では、完成度の高くないもの。


伝統的に、マーフーの大半は男だったと言われるが、ポリネシア地域の周辺部には、同性への欲望を示し、通常の女とは異なる行動を取った女もいる。


そういう女たちは、今も、トンガ周辺の離島から、報告例がある。


では、男がマーフーになるケースを見る。

幼少期に女性特有の役割、また女性に課せられた家庭内の作業をしたがる。

成長後は、女性の仕事に従事する。


ただ、中には、普通の男と変わらない者もいる。外見、日々の行動からは、取り立てて、女性らしいわけではない。


マーフーは、女性の日常的な役割のみならず、伝統舞踊や歌、祭りでも、女性の役をこなす。

揶揄や、冷やかしの対象となることもあったという。

が、そういう行動をする男と、マーフーが性的パートナーとなるというケースが多くあった。


タヒチでは、マーフーは、全面的に受け入れられた。

更に、思春期にも、成人後も、同性間の性的関係を楽しむ。


行為の典型的な方法は、オーラルセックスである。

マーフーが、相手の男に、フェラチオをする。

ただし、相手の男が、マーフーのペニスを口にすることはない。


中には、マーフーのペニスを口にする者もいるが、それは問題視されるという。


近年は、そのマーフーの伝統的な役割が、変化の波に晒されている。


今日、マーフーとなる者は、一種のトランスヴェスタイト、女性の衣類を身に付け、化粧をする人間と見なされる。


マーフーは、歌や踊り、語りに秀でているが、タヒチをはじめ、マーフーの存在が常に存在していたという、周辺の島々では、現在、そういう習慣は変化に直面している。


ここ数十年間は、異性装は、文化的対象や、日常生活の一部に近い存在となり、彼らは、美人コンテストや、観光客向けのショー、ナイトクラブの舞台に姿を見せるようになった。


時には、売春をすることもある。


皮肉なことに、この現象は新たな種類の「ヘテロセクシャリティ」の擁護につながっている。すなわち、マーフーはある架空のヒエラルキーのなかで女性の役割を負うことになったのである。その形態は従来のタヒチ社会には存在しないものの、より西欧的なジェンダー転換者、トランスセクシャルになろうとする極端な例もあるという。

ギルバート・ハート


実際、伝統的なポリネシア文化におけるマーフーの習慣は、遊び心のある友人関係と、親密な性的関係が主要な要素だった。


かつてマーフーの役割は、一人の人間の社会的、精神的生活のすべてに関わり、自分自身を、そしてより広い意味での物事一般を変容させることができる特殊な儀礼的役割であった。それは儀礼的な過渡期、あるいは社会的な地位と地位の中間地点に立ち、そこに存在するという意味で、リミナルな立場の一種とみなされていた。いずれにせよマーフーは社会的存在として、時には大げさな振る舞いを見せながら、楽し気に活気に満ちた人生を送っていた。

ギルバート・ハート


この場合は、タイなどにおける、カトゥイ達とは違い、性転換手術などはしない。

体は、男のままである。