玉砕284

川添恵子氏の、レポートから紹介する。


国民総幸福量を国是として、ゆるやかな変化と発展を続ける、ブータンという親日国がある。


お金やモノという尺度ではなく、独自の幸せを追求するという、チベット仏教に根差した国王のスローガン通り、自由で平和、安全な国である。


植民地化された経験はないが、鎖国状態を続けて来た、内陸国ブータンの国境は、人口莫大なインドと中国に接している。


地政学上、実に微妙な位置にある。

インドとは、東をアルナーチャル・プラデーシュ州、西をシッキム州、南をベンガル州とアッサム州に接し、北の国境線は、中国のチベット自治区と接する。


チベット自治区は、日本の国土面積の四倍である。


国境線の大部分は、世界最高峰のヒマラヤ山脈の上を通る。


国境策定交渉は、現在も続いているが、ブータン政府が2006年に発表した、新国境線によれば、北部の突起部分が、ざっくりと切り取られた形に変形している。


それにより、国土面積は、四万六千五百平方キロメートルから、三万八千四百平方キロメートルになり、18パーセントも、縮小した。


それは、チベット騒乱を機に、中国側の国境が、長年閉じられてきたはずだが、いつしか、浸食され、危機水域にあったのだ。


つまり、

中国の人民解放軍が、年に数キロずつ、ブータン側に入り込み、掘っ建て小屋を建てていた

という、証言からである。


人民解放軍による、この蛮行に気づいたのは、高地に暮らし、ヤクで生計を立てていた、遊牧民だった。

夏は、牧草を求め、四千メートル以上の高地をさ迷い、冬は寒さを逃れ、低地に降りてくる遊牧民の生活である。


ところが、何年か前から、ヤクが山を下りてこない、という事態に直面し、ヤクを探しに山の奥深くに入ると、見慣れぬ掘っ建て小屋があったという。

つまり、山を下りてこないヤクは、一体どこへ行ったのかとの疑問が解けた。


人民解放軍に捕獲され、売られている可能性が高い。


アフリカでは、象を殺し、象牙を密売し、国際ルールを無視して、自然保護の概念とかけ離れた中国人、つまり、漢民族が、ブータンで手に入れたヤクを、大切にするはずがない。


ヤクのバターや、チーズは大変貴重で、珍味であり、高級加工品でもある。毛製品も、防寒服になる。


中国とブータンは、1998年に、「中国・ブータン国境地帯の平和と安定を保つ協定」を締結し、国境線も、その際に画定している。

だが、中国は、いつしか数キロメートルの「冬虫夏草ロード」まで、敷設していたのである。


ブータンは、別名、メンジョン、薬草の国、と呼ばれる薬草の宝庫である。

北部は、希少価値の、冬虫夏草の産地でもある。


小麦、大麦、そば、ナタネ等を栽培し、ヤクも飼育して、自給自足に近い生活をしている。

その農家にとって、換金手段の筆頭に上がるのが、冬虫夏草である。


ブータンは、伝統医療で使われるため、国が買い上げて、地元民は年間、日本円にすると、数十万円という、貴重な現金を得ている。


昨今、それを、喉から手が出る程欲しがっているのが、中国なのである。


人のモノは、自分のモノと考える、漢民族である。


その中国では、冬虫夏草が、投機対象になっているという。

雲南省昆明市では、一キロ、46万元、約575万円である。

それは、40年前の、一万倍の価格で、取引されている。


年間十万平方キロメートルの草地が破壊され、縄張りを巡って、殺人事件も多発しているという。

呆れる状態である。


工業国ではない、ブータンには、酸性雨が降らない。

つまり、ブータン産の品質は、大変貴重なのである。


建設した道路の地域までが、中国に組み込まれるのではないか、との危機感から抗議するブータンに対し、道路の建設はチベットを含む西中国の経済発展のため、と居直っている。


更に中国は、

中国とブータンは良好かつ平等な友好関係を維持しており、協議を通じて、両国関の国境問題が早期に解決するものであることを支持する。双方の努力により、国境地区は平和で安寧な局面を維持している。中国政府はブータンの伝統と友情を重視し、これまで同様に平和共存五原則の基礎の上、ブータンと近隣友好協力関係を発展させることを強調したい

との、声明である。


つまり、彼らの常套句で、言葉の羅列、意味不明の談話である。


手付かずの自然が残る、秘境ブータンの領土を侵犯していることに関しては、一切、言及しないのである。


何故、これを紹介したか。

それは、いずれ、日本でも、起こりえることだからである。


北海道の土地を買い漁る中国が、今後、ここは中国政府が持つ中国の領土である、と言わないとは、限らないのである。


排他的経済水域をふくめば、日本は世界第六位の海洋国家である。


尖閣諸島問題で、危機管理の無さが露呈したが、領海侵犯の取締りには、漁業法、入管難民法を使い、対処するという、日本政府である。


戦後、左翼勢力に自衛隊の権限拡大が阻まれ日米安保体制による抑止力頼みだったとはいえ、軍備拡張をしながら急速にプレゼンスを高めてきた中国を横目に日本は旧態依然としたまま、先手=法整備すらしていない。

川添恵子


話し合えば、解決するなどとは、漢民族とは、あり得ないのである。


嘘も百回言えば本当になる、という中国の、恫喝、賄賂、武力による、ねじ込みが、中国の得意技である。

約束を、瞬時に保護にする民族である。


はっきり言う。

中国共産党政府は、共栄共存という感覚は、全く無い。

ただ、侵略し、乗っ取るのである。


その根拠は、チベット、ウイグル、南モンゴルである。

どのように、扱われたか・・・