4年ぶりのほほ笑み 9

 バナナマフィンに生クリーム、シャーベットを添えて。  わたしは、パタヤの細い路地のスウィーツ専門店で、夜の訪れを待っている。  スウィーツ専門店といっても、たたみ一畳ほど。味は絶品。甘味にうるさいタイ人の舌をもとろかす仕上がりだ。  バナナマフィンのさいごのひとかけを口に運びつつ、ホテルのネット予約を知らなかったら大損こくな、と思う。  ぎりぎりまでホテルが決まらず、今回はじめてアゴダ…

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4年ぶりのほほ笑み 8 文責;コータ

  ほれ 踊りな 酒で喉しめらせて  あんたやさ男 だけどカネ無い  神さまからの 助けさえ無い   性悪美人に ふられりゃ悲惨  負けでいいのさ つぶれていいよ    たまにつぶれる夜があっても  毎晩よりはまだましさ――  ルークトゥンという、歌謡曲の一節。タイのカラオケ屋で飲むと、歌詞が身に染みてくる。  メーさんの部屋で宴会に招かれた翌日、パタヤという街へ向かう前に、彼女の働く…

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4年ぶりのほほ笑み 7  文責;コータ

 タイヤイ文化は、日本人にも馴染みやすい。  食事はお米が中心。野菜も豊富。  タイ料理にはあまり見かけない、“おにぎり”もある。スマホを使いこなす現代人のタイヤイ娘も、もとは農村出身なので、料理はお手のもの。  バンコクに暮らしながら、時折り集まって、タイヤイ料理を一緒につくったり、タイヤイ歌謡をきいて故郷を懐かしむ。  いちばん年上の、お姉さん的存在、メーさんの部屋で、床に座り込…

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