国を愛して何が悪い228

謡曲の題材種類は多く、私の言う「王朝」と「鎌倉」ものに限られたわけではないが、しかし時代は変わっても、日本人の音声の基調ともいうべきものは、ここで固まったのではないか。南北朝内乱の渦中で彼らはそれを改めて発掘したのである。亀井 確かに、その後の日本の音声に、多大な影響を与えたと、私も思う。 そして、そのためには、田楽、申楽、白拍子、遊女、山伏、旅僧、琵琶法師等々、流離の人々の、心底にも、宿っ…

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国を愛して何が悪い227

中世は武家の時代だといわれるが、彼らがどれほど人間不信の念をばらまき、政権の座にあって醜態を極めたか。公家の醜態とあわせて、私は太平記に即してその諸相を語った。人間性の一面がうかがわれて興味ぶかいにはちがいないが、それにしても五十年もつづく内乱とは、愚劣のきわみと言ってよい。日本史上稀にみる愚行の連続であった。建武中興をめぐって、後世の史家は南北朝時代を誇張しすぎた感がある。亀井 改行、現代文は…

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国を愛して何が悪い226

保元・平治物語、平家物語、源平盛衰記、太平記と、軍記ものがつづいた最後に、なぜそれらを否定するような異色ある作品があらわれたのか。亀井勝一郎 それは、義経記である。 亀井は、日本精神史研究で、再度、取り上げている。私が、それを簡潔に紹介する。 まず、私見では、全く、想像の物語である。作者も複数いる。軍記ものではない。物語である。 しかし、何故、義経なのか・・・ 吉野山中の描写が詳しいの…

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