国を愛して何が悪い267

現代でも怨霊や祟りという観念は息づいており、時にオカルトブームや都市伝説などのかたちではやりすたりを繰り返しているが、中世の怨霊と現代のそれとのあいだには決定的な違いがある。それは、怨霊の祟りの対象となるのが恨みをもたれた個人やその一族だけではなく、社会全体に不慮の事態をもたらした点である。早島大祐 現代言われる、御霊とは、個人的な恨みを晴らすという、考え方が多数である。だが、室町期以前は、違…

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国を愛して何が悪い266

京都に進駐した、足利尊氏の軍勢の有様から、再度、見ることにする。 それは、戦後の混乱を立て直すという、作業から、始まる。 足利尊氏は、後醍醐天皇を追放した直後の、建武三年、1336年に、後の基本的法令となる、建武式目、を作成した。 その内容については、早島大祐氏の、室町幕府論、から紹介する。 内容は、おおよそ、三つに分けられる。 の倹約令から顕著に読み取れる、道徳的項目である。倹約、飲…

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国を愛して何が悪い265

室町時代は、現代の商品経済社会の、始期であるという、事実には、驚く。 そして、それまでの、身分制度が、根底から、揺らいだ時期でもあるとの、指摘である。 室町時代は、古いものと、新しいものとが、交錯して、無秩序に見える。が、それが、他の時代との、違いである。 漠然としている、時代性である。だから、見えにくいと思われる。 全国を覆う、そして、国外にまで広がる、商品流通の時代は、律令国家以来の…

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